地球の未来に想いを馳せて 〜 GAIA AWARENESS





ブログ: 蒼い碧なユニコーン に書いていた “「地球と人類」をテーマにした曲” をまとめたページを作ってみました。


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ヴァレンシアといえば、やはり 「ガイア」 でしょう。 あの曲は、人類が地球にもたらした様々な問題を、今なんとかしないと取り返しがつかなくなる…という事を歌った曲でした。 ヴァレンシアはその後も、様々なタイプの曲を作る中に、そういったテーマの作品を織り交ぜ続けています。


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 VALENSIA の 「地球と人類」 をテーマにした曲 




1. Gaia
2. 1997
3. Kosmos
4. The Cassiopeian
5. MillenniuM
6. Realm of Nature
7. Einstein
8. The Mercurian Mystery March I
9. The Waltz Of The World
10. Aquatica
11. Aglaea
12. 21st Century New Christmas Time






Gaia
(ガイア)


1stアルバム「Gaia 」収録 (1993年)

1stアルバムのタイトル・チューンであり、1stシングルでもあるこの曲は、1993年(日本では '94年)にリリースされ、本国は勿論のこと、遥か遠いここ日本でも大ヒットしたのでした。 ポップス、ロックのみならず、へヴィメタルからクラシックまで、実に幅広い層の音楽ファンから高い評価を得、いまなお多くの人の心に感動を与え続けています。

三拍子が印象的で壮大なイメージを持つこの曲は、まるで映画音楽のようです。私も最初聴いた時はきっと何かのプロジェクトだろうと思ったのですが、実は若干22、3才の新人アーティストのソロ曲と知り、本当に驚きました。 しかも作詞・作曲・アレンジの全てと、あの美しいヴォーカル、更にはコーラスの殆んどのパートまでもが本人(男性!)によるものだと知った時の衝撃…。こんな事があり得るのか?!という感じでした。

歌詞についてですが、これは人類への警鐘という意味合いを持っていると思います。

"戦争などしている場合じゃない、
このままだとGAIA(大地の女神)は僕達を押し流してしまうよ。
或いは核の冬の到来で僕らは氷に埋もれてしまうだろう…
どっちにしたって未来は無い…。こんな世の中にしたのは誰?
さあ、立ち止まってもう一度考えよう。"

大まかにはこんな内容だと思われますが、深〜く、色々考えさせられます。ぜひ原語詞を読んでみて下さい。10年以上前に作られた曲ですが、まさに現在の状況に怖いくらい当てはまる内容ではないでしょうか。 環境汚染による気候変動や核戦争の脅威など、もちろん当時も心配されてはいましたが、現在状況はますます深刻になりつつあります。ただ、世界の人々の意識もここに来て急激に高まってきています。だから…今こそ GAIA を多くの人に聴いてもらいたい、と思うのです。

YouTube - Gaia








1997

1stアルバム 「Gaia 」 収録 (1993年)

「1997」 は 「Gaia 」 のエピローグ。セットになると、本当にひとつのサウンドトラックみたいな感じです。宇宙的な効果音とセリフの後、GAIA のテーマがシンフォニックに盛り上がってクライマックスを迎えます。 低音ボイスは、プロデューサーでもある KAYAK の Pim Koopman が担当。









Kosmos
(コスモス)


2ndアルバム 「 Kosmos 」 収録 (1996年)

タイトルが "宇宙(コスモス)" な この曲は、「人類は何処から来て、何処へ行くのか…」 という永遠のテーマを元に作られたのだそうです。 思い返せば1980年、カール・セーガン博士がTVから語り掛けて、この 「コスモス」 という言葉は一躍世間に広まったのでした。「核の冬」 という言葉が浸透したのも あの番組 がきっかけだったと思います。 Valensia のこの曲も、直接 or 間接的に影響を受けているのは間違いないでしょう。

物語のプロローグのようなアコーディオンのイントロで始まり、繊細な声で歌われるヴァース… そして次第に盛り上がってオペラティックなコーラスへとなだれ込む、これもまるで映画音楽のような壮大な曲です。最初地球上に有った視点が、突然サァーッと引いて俯瞰的に拡がって宇宙へ。そしてまた人間の営みとクロスオーヴァーする…  私にはそういう映像が浮かびます。

歌詞も深い…。そして韻の踏み方がまた素晴らしい。
Mother nature, sow the seeds
Modern nation bleeds
Under the Kosmos we breath
しかし…
Now, today; lights in the sky
no longer fiction  no more
これは真剣に考えるとかなり怖い…。
本当に、映画の中だけの事であってほしいと祈らずには居られません。

YouTube - Kosmos










The Cassiopeian
(カシオペア)


2ndアルバム 「 Kosmos 」 収録 (1996年)

Heaven harbours many races
「Heaven」 には 「天国」 そして 「天空(宇宙)」 の2つの意味があります。それに合わせてこの曲にも2種類の解釈が考えられます。 前者だと、どんな民族も平等に天国(この場合宗教色の無い“天上”とでも言った方がいいかな) にいる…という意。そして後者だと、宇宙には多くの種族がいる… となるわけで。 それぞれの解釈で読んでみるとそれなりに意味が通じるように思うのです。Valensia は両方の意味を込めたんじゃないでしょうか? 翻訳は前者中心のようですが、この曲のイントロはロケットのカウントダウンだし、なにより曲タイトルが「カシオペア」ということで、Heaven = 宇宙 という解釈も自然ではないかと。

We will watch them blue balloons
この blue balloons が何なのか…。 a blue balloon なら地球の事だと思ったのですが、複数形になってますよね。地球のような星はいくつもあるだろうという暗示?それとも宇宙船のこと? 宇宙は広くて他にも知的生命体はいるかも知れないのに、小さな地球の中で争い合ってる愚かしさ、を歌っているのかも…と思いました。

曲調はとても明るく爽やか。希望と冒険心をなくさないで、と言っているかのようです。

この曲の前には、イントロ的な1分弱のトラックが付属しています。ステレオ効果が凄い ジェット機のSE と壮大なオーケストレーションによる、「Cassiopeian Sky Surveillance 」 です。 Surveillance は「監視」という意味。

YouTube - The Cassiopeian










MillenniuM
(ミレニアム)


3rdアルバム 「 V III 」 収録 (1998年)

「MillenniuM」 は、やや異色な 3rdアルバムの中に在ってひときわ輝きを放つ、Valensia らしいサントラ風壮大曲。Gaia(地球)の次が Kosmos(宇宙)なら、その次は…?と思っていたら、Valensia は "時間" というテーマで、作品に四次元的拡がりを与えたのでした。

December 31, The New Age's countdown has just began
で始まる、新世紀前夜の期待と畏れの入り混じった雰囲気を見事に表現した作品です。

2000 years we tried. Tonight ask yourself; Did we do it right ?
結局私達は無事に NEWミレニアムの入口を通過できたわけですが、これからの千年を本当に幸福なものにする為には、多くの課題が残されているのは周知の通り。"過去の過ちを繰り返してはいけない…" そんな事を訴えかける曲ではないでしょうか。

曲調・構成とも、Kosmos よりずっと Gaia に近いと思います。少しダークさを伴ったクラシカルなイントロで始まり、三拍子に乗せてドラマティックに四次元的な仮想空間にいざなわれます。宇宙の中を漂っていたかと思うと、ビッグ・ベンの前に佇んでいたり…。アルバム・ジャケットは、まさにこの曲の “病んだ地球を眺める” イメージですね。

So enter this brave and new MillenniuM !
最後に聴こえるのは Valensia の住んでいる町、Denia の花火の音だそうです。 地球は病んでいるけれど、新しいミレニアムに希望と勇気を持って臨もう。 というメッセージが込められているのだと思います。

YouTube - MillenniuM










Realm of Nature
(レルム・オヴ・ネイチャー)


4thアルバム 「 GAIA II 」 収録 (2000年)

とても哀しい曲。哀しくも美しい、というのはこういうことかと思わされます。 そういえば昔のインタビューで、一番インスパイアされる感情は?との問いに、 "愛と絶望感" と答えていたのを思い出しました。 まさにその感情に溢れた曲ではないでしょうか。 むせび泣くギターも胸に迫ります。

YouTube - Realm of Nature










Einstein
(アインシュタイン)


4thアルバム 「 GAIA II 」 収録 (2000年)

"Einstein" というのは、そう、あの相対性理論で有名なアインシュタイン博士の事です。 “プラスティックの時代から抜け出す為に、第二のアインシュタイン、出ておいで。” という内容? 物理とか化学とかにこだわらず、とにかく何か次なるステップへの革命的なアイデアを生む者を切望している、という意味じゃないかなと思います。

曲調はとても Valensia らしく、軽快な裏打ちPOPS +クラシック・テイストなイントロや間奏、バックに流れるマイナーなストリングス、ミステリアスな転調、そして何よりあの絶妙なハーモニー! … Valensiaってつくづく天才。。と思わずにいられません。

そしてこれもまた彼らしいですが、言葉の持つ音の響きの使い方が実に巧み。 “ VCR, CDR, PC, TV, CD, DVD … ” まさに早口言葉のこのフレーズ、歌えるようになるには特訓が必要ですね。(笑)

いろんな比喩や、注釈にも意味が隠されているようです。 windows (Microsoft) と shells (Apple) とか。 "Relative intro"; 相対性イントロ。 "E= M Solo 2" は勿論、最も美しく有名な公式である特殊相対性理論の「E=mc2(2は二乗)」をもじったもの。 "Worm-holed outtro";ワームホールとは時空にあいた虫食い穴、即ち「時空トンネル」のことで、物理学用語です。相対性理論によって存在が示唆された事象で、別名「アインシュタイン-ローゼンブリッジ」。

ユーモアを感じさせながらも現代社会を皮肉った、"シュールな風刺画" 的佳曲。

YouTube - Einstein










The Mercurian Mystery March I
(マーキュリアン・ミステリー・マーチ)


"V" 1stアルバム 「 V 」 収録 (1999年)

これは Valensia が Robby Valentine と組んだユニット “ V ” の1stアルバム 『 V 』 に収録されている曲です。歌詞カードには Valensia/Valentine とクレジットされていますが、実際の作詞・作曲は Valensia のソロ・ワークです。元々自身の2ndアルバムに入れるつもりだったのですが、プロデューサーから「待った」が掛かって諦めた曲なのでした。 それは何故かというと… 詳しい人なら聴けばすぐに分かるでしょうが、QUEEN の名曲 「The March Of The Black Queen」(フレディ・マーキュリー作)に似ているんです。…って、タイトルからして既にその影響は明らかでしょう。( 実際にはQUEEN 以外からの影響も色々あるのですが。) しかしこの曲自身も、単なる亜流とスルーしてしまうにはあまりにもったいない名曲です。"Black Queen"の事は少し忘れて、じっくり聴いてみて下さい。僅か3分に凝縮された壮大な叙事詩。素晴らしいメロディとハーモニー。ギター・ソロもドラマチックで、胸が熱くなります。

そして…先ほどタイトルについて触れましたが、前述したように、大抵の人はこれは 「Freddie Mercury」 と 「The March of the Black Queen」 からの"頂きモノ"だと思うでしょうね。 曲調からいって確かにそれはあるでしょう。でも実はもう一つ意味がある、と私には思えるのです。
「The Mercurian Mystery March 」 とは、「水星人の不思議な行進」…でも良いけれど(笑)、本当は 「水星の不可解な運行」 の事ではないかと思うんです。
Mercurian orbit swinging, the polar lights on the equator sing
( 水星の軌道は揺れ、赤道の極光は歌う )

19世紀、太陽系の惑星の軌道はニュートン力学によってほぼ計算されていました。しかし一番内側を回る水星の軌道だけが、計算外の不可思議な揺れを含んでいたのです。その原因の解明に学者達は長い間頭を悩ませていました。20世紀に入り漸くそれを解決したのは、かのアインシュタインだったのです。彼の一般相対性理論は、重力によって時空が曲がる事を示します。その考えに則って計算した水星軌道は、見事に観測値と一致したのです。これは一般相対性理論が世に認められる為の最初の重要な成果でもありました。

「Einstein」 という曲を作ったほどですから、Valensia はアインシュタインに興味を持っているんじゃないでしょうか。だからこの曲もきっと水星軌道の話がベースにあるのでは、と思ったわけです。Nuclear breeze という言葉も出てくるように、詞は核の脅威を歌っています。核兵器もまた相対性理論の産物… それで 水星のマーチ と掛けたのではないかと。 そして曲の方は (フレディ・)マーキュリーのマーチ と掛けた、と考えると…  ふ、深い。凄すぎです。 「単なる亜流、とスルーしてしまうにはあまりにもったいない名曲」 と言った意味、分かって貰えましたよね? (仮に Valensia がこの事を知らずに作ったのだとしたら…それはそれで凄い…というかちょっとコワイくらいかも。)

更に… 「我々は歴史を繰り返してしまうけれど、(水星のように)少しずつ軌道をずらす事は出来るかも 」って意味も含まれてる?と思ったり…。 そこまで考えるのはちょっと穿ち過ぎかもしれませんけどね。
We're reviving the history
The Mercurian Mystery ..
Valensia が歌う "The Mercurian Mystery.."の部分がとても好きです。

YouTube - The Mercurian Mystery March I









The Waltz Of The World
(ワルツ・オブ・ザ・ワールド)


"V"1stアルバム 「 V 」 収録 (1999年)

唐突に終わる The Mercurian Mystery March I から引き続いてこの曲が始まり、組曲のような形になっています。 子供たちに語り継ごう…というダイレクトなメッセージ・ソング。 この世界が唐突に終わらない為に…?









Aquatica
(アクアティカ)


Internet DL only にて配布 (2005年)

AQUATICA : The song of mankind and water

この曲はCDには収録されていません。2005年 1月 に ダウンロードonly で配布されました。( オランダではラジオでもオンエアされました。)

Valensia本人(旧 Official Site)によれば、その内容は"水"をテーマにしていて、
1. その汚染
2. それが少な過ぎる事
3. それが多過ぎる事
について歌っているそうです。即ち 2.は干ばつ、3.は洪水と津波について、という事でしょう。彼のルーツである海洋民族の曲調で奏でられる、水の女神 AQUATICA への祈りの曲なのでした。

実はこの曲は元々2003年の国際淡水年を記念して作られたのですが、イラク戦争が始まったせいでその発表の機会を逃してしまっていました…。 その後、次のVALENSIAアルバムに、と予定していましたが、自身の祖国でもあるインドネシアを襲ったスマトラ沖地震・津波災害に心を痛めた彼は、何か因縁を感じさせるこの曲をチャリティーの為に完全提供する事を決めたのでした。 この曲のダウンロードによる収益金は全てオランダの津波災害救援募金Giro555に寄付されました。

現在、AQUATICA のダウンロードは残念ながら終了しています。

YouTube - Aquatica (注:津波の画像有り)










Aglaea
(アグライア)


6thアルバム 「 VALENSIA VI - GAIA III AGLAEA LEGACY 」 収録 (2014年)

Aglaea とはギリシャ神話の輝きの女神の名ですが、その女神に因んで付けられた小惑星の名でもあります。デモ段階でのタイトルは、その小惑星のフルネーム、「47 Aglaea」でした。
昨今話題になることが多くなってきた “小惑星と地球との衝突” をモチーフにした三拍子の壮大曲で、「Gaia」の姉妹曲と言えると思います。( Gaia の逆回転も部分的に使われています。)
実際の 47 Aglaea が地球に衝突する事は無さそうですが、他の小惑星では十分あり得る話です。最近、小惑星の軌道を変える実験が始まったというニュースもあったように、現実的な脅威であり、その回避がこれからの人類の課題となるでしょう。地球の未来のカギを握る…のかもしれません。
そんなとても怖ろしい、けれどとても美しい曲です。

YouTube - Aglaea










21st Century New Christmas Time
(星降る夜のクリスマス)


ミニアルバム 「 White Album 」 収録 (1994年)

爽やかでキャッチーでキラキラしていて、面白くて、ちょっと考えさせてもくれる… とても素敵なクリスマスソングです。

ブックレットには歌詞が一部しか載っていませんが、Valensia は自分の公式HPに全ての歌詞を掲載してくれていました。そのブックレット未掲載の部分が、「地球と人類」 のテーマに沿う詞なのでした。

新しい愛と調和の時代に入ろう
そこには涙も戦争の恐怖も無い
金に縛られた冷たい世界よさようなら
今でも冷たいのはこの雪だけさ

…こんな理想郷の実現は不可能かもしれません。でも少しでもそこに近づく事は不可能じゃない。だから理想を夢見るのは決して無意味ではないと思うのです。しかも時はXmas。ほんの一時でも世界中が平和を夢見る日。だからこの曲を。 一年に一度くらい、恥ずかしがらずに理想を歌いましょう。

YouTube - 21st Century New Christmas Time









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GAIA AWARENESS とは…

Aquatica 発表時のステートメントで Valensia が使った言葉です。 これから先にも起こるだろう地球規模の災害に備える為に GAIA AWARENESS live show のようなものを定期的に開けると良いのに… という彼の夢が語られていました。









2023.03.01.

ちょうど良さそうなサイズで見て下さい。m(__)m 



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