The Blue Album


  ( HMV で試聴が出来ます。)



Buy soon !   2002.7.24.リリース
  MICP-10311
  \2600

  5th アルバム。
  Valensia らしい要素が一杯詰まった、ファン納得のアルバムです。
  バラエティに富んだ構成は、名作の誉れ高い 1stアルバム『GAIA 』の
  これぞ後継作!と思わせ、彼の才能の特異さを再認識させてくれます。
  『GAIA 』や『KOSMOS』に比べれば音像のクリアさは劣るかもしれませんが、
  それらが巨費を使い、最高のスタジオで熟練のプロデューサー達に手掛けられた
  ものだった事を考えれば、自宅のスタジオで僅か2作目のセルフ・プロデュースで
  ここまで作り上げた事は充分評価に値するのではないでしょうか。彼の音楽は
  音数やトラック数が多く、非常にコントロールが難しいはずですから。
  しかも、ドラムとベース以外の演奏&ヴォーカルは全てValensia自身によるものです。

  




1.Mayte : ドラマチックでエモーショナルで、複雑な展開にゾクゾクさせられます。
間違いなく Valensia の代表曲の一つに挙げられるでしょう。
QUEEN の The Prophet's Song の影響も垣間見られ、あの曲のファンとしては思わず
拍手です。 もうひとつ個人的に気に入っているのは 4'00''前後頃の間奏(?)で、
降るような星空をイメージしてクラクラします…
この曲ではベースも本人が担当。





2.Hello Pianist: Valensia お得意のレゲエ風ナンバー。 色んな音が詰まっていますが、
パーカッションにはなんと自宅のキッチンのポットやフライパンを使っているとのこと。(@_@)
そういえば『KOSMOS』の「Bleeding」でもおばあちゃん家の食器を鳴らしていましたっけ。
実はValensia はドラムも叩けるのです。 David の方がずっと上手いので任せていますが、
鍋釜叩く位は朝飯前なのでした(笑)。トロンボーンも David と二人で吹いているようです。
そして他にも仕掛けが。この曲を逆回転させると…Valensia の過去の曲が現れます。
(曲クレジット参照)  Windowsのサウンド・レコーダー等でお試しあれ!





3.Inshallah : ケイト・ブッシュ meets スパークス with クイーン、な感じの超複雑曲です。
この複雑さはあまりにもやり過ぎ!と思う人が殆んどかも知れません。
しかし歌詞にもそういった事が触れられています。 だから“わざと”なんでしょうね。
Some can say I'm much too freakish ..  〜  you sing with me ... 
それでも、好き嫌いとは別の次元で誰をも思わず 「凄い…」 と唸らせてしまう…
それは誰にでも出来る事ではありませんよね。
最初は Too much ! と思っても、聴き込むと病みつきになってしまうでしょう(笑)。
他のアーティストじゃ物足りなくなってしまう事必至です! I sing with you, Valens !





4.

5.

6.
The Echo

The 1st Born

Goodnight Orion
:#4 #5 #6 は、いずれも #7 "Alyssa"のイントロとしての短いトラック。まとめて一つの組曲
のようになっています。生れ落ちた小さな命、父親になった喜び、受け継がれて行く命への
感動、等が表現されているように感じました。ヴァイオリンも Valensia が自ら弾いています。
#6 はまるでディズニーのような素敵なララバイ。Alyssa ちゃんに歌ってあげてるのを想像して
ほのぼの…。 しかしこれ、ママでなくパパの声だってとこがスゴイですよね。





7.Alyssa: 新しい命への愛に溢れたとても美しい曲。そして決意の曲でもあり、深く胸打たれます。
ブックレットには歌詞の間にたくさんのコメントが…。いろんな思いが詰まっているようです。
雰囲気は今迄で一番ケイト・ブッシュっぽいかもしれません。 このヴォーカルを聴いて
Valensia が女性だと"確信"された方もいらっしゃる事でしょう。 (でも、男ですから…^^;)
そしてこの曲にも逆回転手法が使われています。(メロディだけでなく歌詞にまで?! )





8.The Flying Dutchfan : こ、これはなんとコメントしてよいやら。
フラストレーションを詰め込んで、花火を作って打ち上げた って感じかな?(笑)
とにかくハジケてます!





9.Life Is A Killer: これはまた新しい試み。Valensia がラップ(風?)を演るとこうなります。
2種類のラップが重なり合って同時進行するのです。ハーモニーを得意とする彼ならではの
アイデアといえるかも。 全体の曲調は、'80年代に活躍したニック・カーショウ風です。
彼の名は、Valensia が初期の頃のインタビューで、ユニークなコード展開をする数少ない
アーティストとして挙げていた事があります。





10.The Amateur: とてもValensia らしい洒落たPOPソングです。どこか不思議〜でお伽な雰囲気。
私はこういう曲を聴くと、Valensia って本当に天才で希少で貴重な存在! と思って
しまいます。 ハーモニーも含めてとてもレンジの広いヴォーカルも素晴らしい。
ラストのアカペラ部分ではかなりの低音が聴こえますが、これはエフェクト? そうでは
ない気がします。いずれにせよ、結構低くまで出せるはず。一体何オクターブでしょ?





11.The Line: デュラン・デュラン(パワー・ステーション?)の影響を感じさせる '80年代風の勢いの有る
ROCKナンバーです。The Amateur みたいな曲を書く一方で、こういうカッコイイ!曲も演れる
ってとこが凄いと思います。 ギターもイイよねえ。ソロも思いっきり弾いてます。上手いです。
そういえばこの曲ではベースも弾いているのでした。





12.A Night In Spain: 何もかもがミステリアスです。曲もも。
まず、語るようなヴォーカルが、一見意味の無い文字と数字の羅列から言葉を紡ぎ出し
てゆきます。そして、淀んだ空気を打ち破るかのような鮮烈なオペラチック・ファルセット!
サビは一人デュエット状態です。ライナー・ノーツには女性ヴォーカルとの掛け合い、と
ありますが、これはちょっと誤解かも?…確かにこの曲だけはマイケさんがバッキング・
ヴォーカルを務めているとクレジットされていますが、それは単なるバック・コーラスだけで、
歌詞を歌ってるリードの部分は全てValensia 自身のヴォーカルだと思います。
ファルセットが素晴らし過ぎて女声と間違えるのも無理ないとは思いますが…。 
そして相変わらず間奏が非凡。 魂、持っていかれます。





13.Bonen Hood: Valensia お得意のヴォードヴィル調曲。こういうの書かせると、そして歌わせると本当に
上手い! ヴォーカルの一つ一つを注意して聴き分けると、実に様々な表情の声を操って
いるのが解ります。 クイーンの「シーサイド・ランデヴー」や「ムスターファ」が好きな人には
特にオススメ。 "ケイト・ブッシュ"テイストも其処彼処に…。両者の融合が出来るのは
Valensia しかいないでしょう。 詞の内容は、彼が見た悪夢モロモロ…。(笑)  ちなみに
"Bonen Hood "は造語で、確か bone が neighborhood な感じを表現している、とか語って
いたような…。「となりのトトロ」ならぬ「となりのドクロ」ってとこでしょうか。(笑)
好きだと言っていたサン=サーンスの「死の舞踏」からのインスパイアもあるかも?





14.Valensian Jazz: 「Jazz は苦手。数学的だから…」とはValensiaの過去のインタビューでの言葉。しかし彼の
冒険心は、いつでも苦手なものにこそチャレンジをさせるようです。Life Is A Killer のラップも
しかり…。そしてそこにはいつも何か特別な仕掛けを組み込もうとします。ただやるだけじゃ
面白くないから、と。 この曲でのポイントはやはりあの声でしょう。Alyssaでも女性的な美声を
聴かせるValensiaですが、この曲でのヴォーカルはもうミラクル・ヴォイスと言ってよいのでは?
こんな声で歌える男性が他に居るでしょうか…。
David はJazzy なバンドにも所属しているという事で、ここでもナイスなドラミングを聴かせて
くれています。(もしかして彼は数学が得意?) 彼が居たからこそ実現した曲かも。
2'50"辺りで囁かれる「Fly…」で空に舞い上がり、Valensia と一緒に飛んでいるような気分
にもなれます。 おそらくラスト・ソングのつもりで書かれた、ちょっとせつない曲です。





翻訳の中にもチラっと書かれていますが、Valensia は本当に曲クレジットに色々書くのが好きです。
クレジットだけでなく、歌詞の間にも歌われていない文が織り込まれている事がよくあります。   
曲の背景のヒントが隠されている事もしばしば…。 それでもなお難解、というかそのせいで
更に難解になる事も多いですが…(苦笑)。 そういうところも魅力の一つだと思います。